日本語を起点とした英語学習方法

日本語を母国とする私たち日本人が、英語を学習する時の最大のポイントは、そもそも日本語にはない概念や表現をどのようにして理解するかです。なぜこの冠詞を使うのか、なぜここで受動態を使うのかといった疑問に対しては、日本語の文法や感覚を対比させることで単なる丸暗記ではない、より深い理解に繋がるため、時には日本語を起点として考えた方が効果的な場合もあります。

特につまづきやすいポイントは下記5つです。
・冠詞
・受動態
・完了形
・前置詞
・語順
順を追って説明します。

 

1: 冠詞
英語の冠詞 (a, an, the)は、日本語には存在しない可算名詞と不可算名詞の区別、そして初出情報と既出情報という概念が深く関わっています。日本語の助詞「は」と「が」の使い分けに似たニュアンスで捉えることができます。

・aやan: 初めて話題に出す不特定なものを表す。
例: 公園に野良猫がいた。→ A stray cat was in the park.
・the: 既に話題に出た特定のものや、文脈上明らかになっているものを指す。
例: その野良猫は白かった。 → The stray cat was white.

日本語の「が」が初出の情報や主語の存在を示すのに対して、「は」が既出の情報やトピックを提示するのと似ています。この対比を意識することが大切で、冠詞の使い分けを感覚的に理解しやすくなります。

冠詞に関しては、以前8月12日に投稿した、冠詞aとtheの使い分けPART1からPART3を参考にしてください。

 

2: 受動態
受動態(be + 過去分詞)は、日本語のいわゆる「〜される」と言う意味だけではありません。日本語の受動態は被害や迷惑のニュアンスを含むことが多いですが、英語の受動態は「誰が」ではなく「何が」に焦点を当てたいときに使われます。

・日本語の受動態(被害・迷惑)
例: 雨に降られて、服が濡れた。(迷惑)
・ 英語の受動態(焦点の移動)
例: この小説は村上春樹によって書かれた。This novel was written by Murakami Haruki.
誰が書いたか(村上春樹)ではなく、何が書かれたか(この小説)に焦点を当てています。

日本語の〜によってという表現を起点に、誰が行ったかよりも、何がどうなったかという英語独特の思考を理解することで、受動態の役割をより深く掴むことができます。英語では何を一番強調したいかで文の構造が変わることを意識しましょう。

受動態に関しては、以前7月21日、7月26日、9月11日に投稿した、受動態の本質PART1からPART3を参考にしてください。

 

3: 時制(特に完了形)
日本語の時制は過去と現在・未来の2つが基本ですが、英語にはより複雑な時制があり、特に現在完了形 (have + 過去分詞)は私たち日本人がつまずきやすい点です。日本語の「〜したところです」「〜したことがあります」「ずっと〜しています」といった表現は英語では現在完了形で表されます。

例: ちょうど宿題を終えたところです。→ I have just finished my homework. 完了
例: 日本食を食べたことがあります。→ I have eaten Japanese food. 経験
例: 5年間東京に住んでいます。 → I have lived in Tokyo for five years. 継続

日本語の事実を示す「〜した」だけでなく、「その結果今どうなっているか」というニュアンスが含まれる場合、英語では現在完了形が使われるという考えです。

 

4: 前置詞
日本語では「に」「で」「から」といった助詞で位置や方向を表しますが、英語の前置詞 (in, on, atなど)は、それぞれが持つコアとなるイメージを掴むことが重要です。

・on: 何かの上に「接している」イメージ。
例: 机の上に鉛筆がある。→ There is a pencil on the desk.
例: 壁に絵画が掛かっている。→ There is a painting on the wall.

・at: ある一点や特定の場所に「存在する」イメージ。
例: バス停で待っています。→ I'm waiting at the bus stop.

・in: 何かの「中」や「範囲内」にいるイメージ。
例: リビングにいる。→ I'm in the living room.

それぞれの前置詞が持つ空間的イメージを理解することで、より自然な前置詞の使い分けができるようになります。

 

5: 結論ファーストの思考 (語順)
日本語の語順: 主語→目的語→動詞 (文の最後に結論)
英語の語順: 主語→動詞→目的語 (文頭に結論)
この違いを意識すると、英語の「結論を先に述べる」という思考が理解できます。

日本語: 今日は用事があるので、その後買い物に行く。→ 先に理由を述べる。
英語: I'm going shopping after I run some errands today. → 先に結論を述べる。

日本語の結論は最後という感覚を英語に当てはめず、まずは結論という英語の思考に切り替えることが、スムーズな会話に繋がります。

 

日本語と英語は、構造も思考法も根本的に異なるため、100%完璧に対応させることは不可能です。日本語から学んだ知識は、あくまで英語を深く理解するための入り口として使いましょう。日本語の感覚では理解しにくい部分も出てきますが、英語本来のルールを繰り返しふれることで、より正確な知識が身につきます。

2025年10月18日