PART2 受動態の与える影響
前回の投稿では、受動態の役割をご説明しましたが、今回はより踏み込んだ内容になります。実際の日常会話で使う場面は少ないかもしれませんが、こういった場面で使える程度の参考にしていただければ十分です。
早速ですが、受動態を用いることによって、以下のような印象を聞き手に与えます。
・明確さと直接性:受動態を使いすぎることは、明確さ、直接性、簡潔さを低下させるとして批判されることがあります。これは受動態が、文をより長くより客観的にすることで、動作者の特定を曖昧にして、曖昧さや読みやすさの低下に繋がるからです。
・信頼性:受動態は、冷淡、よそよそしい、無感情などの印象を与えます。一般的に受動態を用いることで権威を高めると認識されていますが、実際には非個人的または回避的と解釈される可能性があります。
・信頼と共感: 受動態は、客観性と透明性が不明確になり、信頼を損なう可能性があります。例えば、The interest rate will have gone
up by the end of the year. (今年末までには金利が引き上げられます。)と述べられると、誰がその決定を下したのかが不明確なため、顧客は不信感を抱く可能性があります。この非個人的なトーンは、緊張した状況を悪化させることもありますが、意図的に非難の対象を避けることで感情を鎮める効果を持つこともあります。
・説得力:受動態と説得力の関係は複雑です。意見を弱めると見なされる一方で、否定的な感情を伝える場合には、より大きな説得力を伝えることができます。これは動作者から、受動態の主語である出来事や課題に注意を移すことで、否定的なニュースを和らげたり、より受け入れやすくしたりすることができるからです。
受動態が、信頼や共感を低下させるという強い主張がある一方で、それが特定の文脈でより大きな説得力を持つことは、矛盾しているように見えますが、最終的には受動態をどの場面や文脈で使うかによって変わってきます。例えば、以下のシチュエーションです。
・論文:受動態は科学論文で客観性を促すことで、研究者と研究結果との間に距離を置くために普及していました。未だに受動態を用いることは一般的ですが、現代の多くの科学ジャーナル(Nature、Science、IEEEなど)では、明確さと直接性を分かりやすくするために、能動態を推奨しています。
・報道: ニュース報道では頻繁に受動態が使われているのを見かけます。動作や過程そのものを強調したり、事実を曖昧にしたり、または動作者が不明もしくは重要ではない場合に使用されます。
・企業的なコミュニケーション:受動態は責任回避や曖昧化などのために使用されることがあります。例えば、成功を主張する時には能動態を使用しますが、失敗について議論する時には、ネガティブな結果から距離をおくために受動態に切り替えることが多いです。
・法務文書:法務文書で求められる形式、中立性や正確さにおいて効果を発揮します。依頼人の責任に注意を向けさせないように使用されることもあります。
・一般的なビジネス書類:ほとんどの一般的なメールや報告書などのビジネスコミュニケーションでは、直接的に伝えたいため能動態が好まれます。受動態を使うシチュエーションとしては、動作者が関係ない出来事を報告したり、動作を強調したりする必要がある時くらいです。
前回の投稿からの受動態に関するまとめとして、受動態とは、動作者から動作そのものにフォーカスするのが最も基本となる考え方です。英語の受動態では、動作者が不明もしくは重要でない場合、客観性に物事を捉える場合、責任を回避するための手段としても利用されます。受動態を使いすぎることは、主語がぼやけてしまうので、明確さや共感を失う可能性もありますが、ネガティブな情報を伝える時には、その説得力を高めることも可能になります。文脈やシチュエーション次第ということです。
今回は当教室にお越しいただいている生徒さんから、受動態には一体どういった役割があるかのご質問があったため、このトピックについて書きました。かなり難解なトピックでしたが、次回は英語学習を初めての方でも捉えやすいことにフォーカスして投稿できたらと思っています。
